仏陀の遺言
仏陀が80才に達する時、アナンダら少数の弟子を連れて故郷のカピパラヴァストラを目指しました。ガンジス河を望むパーターリプトラに至った時、仏陀はこう言いました。
「大いなる川に橋をかけて渡る人もいる。木や草を編んでイカダを作る人もいる。聡明な人はすでに渡りきっている。人にはそれぞれ個別の悩みや苦しみがある。乗り越えるには様々な方法、手段がある。人として行うべきではない、殺生、偸盗、邪淫、妄語、飲酒 5つの事を戒めるように務めれば各種の渡り方がある。私は老いて朽ち、人生の旅路を終えようとしている。例えば古く壊れた車が靴紐の助けによってようやく動いているようなものだ。私はもはやカピヴァストラに着く事はない。」
~泣くアナンダ~
「何を泣くのか。私が常に言っている事を思い出しなさい。生まれたものは必ず死ぬ運命を免れないという事を。全てのものは変化し形を変えるという真理を。ここで生命を失おうとしているのは、私の肉体に過ぎない。私が悟った最高の真理は人々が実践を続ければ生命を失う事はない。そこに私は生きている。永遠に生き続けるのだ。この悟りのみが全宇宙においてただ一つの絶対的不変の真理なのだ。
~アナンダは泣き止まず、何を頼りに生きていけばいいのかを必死で尋ねた。~
「自らを灯として生きなさい。法を灯として生きなさい。諸々の事象は過ぎ去るものである。たゆまず、怠らず、信じた道をただひたすら進んで生きなさい。自分自身の思索と行動を灯として全宇宙の中でたった一つの真理を悟りとして灯として生きなさい。 」
汝ら修行層は法をよりどころとし自己をよりどころとせよ。法を灯とし自己を灯とせよ。生身の人間に執着するのではなく、教えを師として自分自身をよりどころとせよ。
―自灯明・法灯明―
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